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投稿(妄想)小説の部屋 Vol.3

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No.85 (2007/02/16 14:38) title:キネマへ転置!!
Name:碧玉 (210-194-208-204.rev.home.ne.jp)

『JADOU copuportion』
 今やこの名を知らぬものはいない。
 彗星の如く突如現れ、この道を一気にトップまでのぼりつめたフィルムの独立プロダクション。
 独プロなのでスポンサーは一切もたず自前の資本での経営。
 企画、講成、宣伝はもちろん、撮影に音響、サントラ、美術、大道具、役者に衣装、メーク全て専属なので、どの仕事も他のメディアでみることはできない。
 隅から隅まで自社のみで賄っているのだ。
 作品はと言えば、老若男女、根強い人気の名作『マーメイド』や伝説の塔に囚われた姫君(もとい男)を描いた『ラブンツェル』。
 時代物では水○黄門ばりの放浪記に、江戸の人情溢れる火消し物語『空禅恋歌』。
 最近では国家を巻き込んだスリル溢れる学園ものの『桂花の留学生活』に大空に夢を託した男たちの愛と友情のパイロット『Colors』が大ヒットしている。
 それらの作品やグッズ、写真集はもちろん、嘘丸出しの暴露本から海賊版のゲームまで現れると即SOLD OUT。まさに社会現象になっている。

 けれども周りは知らない。
 傀儡社長に閻魔をたてているものの、この社を取り仕切っている幹部が四人の若造ということは。

「次はなにが当るかな」
 都会のど真ん中に聳え立つ高層ビルの最上階。・・・ではなく、都会には違いないが誰も見向きもしない古いビルディングの地下に彼等はいた。
 企画会議という名の茶会で。(これでも彼等はいそがしいのだ)最近の作品の見直しと今後の方針を話し合っていた。
「そういえば、カルミア主演の『リト○プリンス』が青少年映画審議会に推奨されたそうだよ」
「あれはカルミアの演技ってより、あのガキのボンボンぶりと洪劉王の親バカ、、、ってか爺バカ役が単にはまっただけじゃねーか」 
 顔を合わせば楯突いてくるマセガキを思い浮かべアシュレイが憎憎しげにつぶやく。
 そんなボヤキをさらりと流しティアは続ける。
「あと太芳主演の『家な○子』も非行防止キャンペーンへのポスター貸しだし依頼がきてたっけ」
「あいつの『同情するなら○をくれ!!』は性格の悪さが際立ってたもんな。間違いなくアニキの子だ」
「柢王、へんな感心しないでください」
「感心なんてしてねぇよ。すんなら、おまえの『八百屋○七』の方さ。髪を振り乱しながら鐘を打つ壮絶かつ艶やかな美!!思い出すだけでーーー」
「吾にいわせてもらえば、タラシぶりを120分発揮したあなたの光源氏のほうが」
「こらっ!!イチャつくな!!」
「妬くな、妬くな」
「妬いてなんかねーーーっ!!}
「―――っ危ねーーーっ!!」
 アシュレイが吐き出した炎を間一髪で柢王がかわす。
「二人ともじゃれついてないで」
 ティアの声と桂花の冷ややかな視線に阻まれて二人はソッポをむく。
「それよりグラインダーズ嬢のスカーレットは好評ですね。これをDVD化するのはどうですか?もちろん限定予約販売で」
 桂花は分かりやすく整理したデーターを写したパソコン画面を三人にむけた。
「ケド、ありゃシャーウッド嬢のメラニーと相思相愛のようにしか・・・」
「柢王っ!!てめぇ俺の姐上にイチャモンつける気かっ!!あの作品にボツがあんならレッドバトラー役のてめぇのオヤジだろうがっ!!」
「すまん」
 それを言われちゃ何も返せず、柢王はガックリ頭を垂れた。
「そういえば蒼龍王さまから次回はドラキュラ伯爵の熱烈なる主演希望が出されていたよ。怪しげな嘆願連名簿付きで」
「親父のヤツ、花街で金ばらまいて書かせたな〜〜〜」
「まぁまぁ、ただの希望だからさ」
 慰めるようにティアが柢王の肩に手をやる。
「山凍殿の『ター○ネーター』も根強い人気ですね」
「TよりUの方がいいぜ」
 待ってましたとばかりにアシュレイが声を張り上げた。彼はこれをメチャクチャ好きだったりする。
「ジョン少年に扮した守天殿と守りの山凍殿のは最高でしたからね」
 とアシュレイに桂花は頷いてみせた。
「それに母親役もっ―――っ、やべー・・・」
 続けたアシュレイの言葉に桂花の顔が一瞬で曇る。
 禁句を口にしてしまったアシュレイをかばうようにティアが桂花に向き合った。
「李々って言ったっけ?まだ彼女の行方は分からないの?」
「ええ」
「そのうち、おまえには連絡よこすって」
「連絡ねーのは元気な証拠だろっ」
 明るく言い放った柢王の後にアシュレイもすかさず言葉を続ける。
「・・・そうですね」
 二人に軽く頭を下げ桂花は微笑んだ。
「けれども彼女の激しい母性演技は誰も真似できないだろうね。何度見ても素晴らしい限りだよ」
「あれは李々の真の願いでしたから。彼女は事情があってわが子を手放したそうですから。吾も詳しくはきいてませんが・・・」 快活な李々が時折見せた愁い顔を思い出し桂花は俯いた。
「大丈夫、彼女は必ず帰ってくるさ。なんたっておまえが待ってんだからさ、なっ」
「―――そうですね」
 柢王の言葉に先程より一段明るく桂花は微笑んだ。
「それより次の企画に入らなきゃ、えっと候補は・・・小さな本屋の主人と恋におちるスターのラブロマンス。ナセルと桂花で」
「却下っ」(by柢王)
 ティアの手から書類を取り上げ柢王が叫ぶ。
「つぎ、つぎ、なにっ超能力持ちの兄弟もの・・・ティアとカルミア」
「それも却下だっ、ふるっーすぎるっ、柢王よこせよっ」(byアシュレイ)
「なになに、柢王主演で失われたアークを探す探検ものーーー?」
「それも却下です。クランクアップ後魔界探検なんて言いだされちゃたまりません」(by桂花)
「ええと、ヌンチャク振るったカンフーものをアシュレイ殿で」
「ダメ―――っ!!それって上だけ半裸だって!!」(byティア)
  
 昼さがりの地下では、まだまだ4人の茶会兼企画会議は続いている。
「バサッ―――


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