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投稿(妄想)小説の部屋 Vol.3

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No.298 (2011/09/23 14:07) title:柢王元帥の査察W
Name:真子 (kd113151204178.ppp-bb.dion.ne.jp)

桂花を執務室で捕まえた。
「桂花はさがらせるからな。」
「なにするんです、仕事の途中です。」柢王の手を振りほどこうとするが。できない。
「いいよ。桂花 今日ぐらいゆっくりして 夜もおきて来なくていいからね。」ティアは手をパタパタふって退室をうながした。
柢王はそのまま桂花の部屋に飛ぶ。
「強引すぎます。」声を張り上げるが元気がない。
桂王の手から逃れて、扉に鍵をかけ 窓の幕布を引く。
怒りは収まった 柢王になんといえばいいのだろうか。わからない。
<お帰りなさい>は伝えた。
<吾がいなくても 大丈夫でしたか>だろうか、元気なのは見ればわかる。
吾がいなくとも やっていけるのを確認するのは気が重い。
<寂しかったです。>は すぐに人間界にもどる柢王の心残りを作るようで気がひける。
<行かないでほしい>とは口がさけてもいえる訳がなく
<浮気していませんか>とは意地でもいいたくない。
あなたの隣にいたいのに いなくてはいけないのに吾は‥
考えれば考える程わからなくなってしまう。
柢王に歩みよれば 顔が俯いてしまう。
柢王は余裕の笑みで桂花を見つめている。桂花のまとっていた心の鎧がはがれる。
秘書としての有能さ 人あたりの良さ ポロポロこぼれて残ったのは柢王だけの桂花。
いじらしく自分だけをしたってくれている。まいごの桂花つかまえた。
柢王は桂花を胸に引き寄せた。
「ただいま 桂花」
「おかえり柢王 また少し背がのびた。」俯いたまま柢王に引き寄せられれば額が柢王の肩だ。
以前は吾より背が低かったのに、引き寄せた腕も長く逞しくなった気がする。なんだかみじめだ。
「さびしかったか 元気にしていたか 人気あるみたいだけど浮気していないよな 気になって人間界にいけないぞ」
言いたかったことをすべていわれてしまった。桂花は苦笑した。
「あなたじゃあありません、そんな事しません、」
「ティアとはずいぶん親しくなったんだな、この服もティアのデザインか」
柢王は髪をまとめていた紐をほどいてしまう。白い髪はクセもつかずサラリと流れる。
「夜もおきて仕事か。」
「使い羽が夜中のもくるのです。夜勤の文官が処理するのですが、手際わるくて」
「そんな事してっから痩ちまったじゃあないか。」
「気のせいです。」
柢王は問答無用で抱き上げると「軽くなった」といって寝台に倒れこんだ。
乱暴なのいう抗議の声はおしつけられた唇に阻まれる。
「おまえがここでティアに目をくばってくれているから俺は安心して人間界にいけるんだ。
でもおまえは俺の副官でティアの文官じゃあない。俺のいない所で無理すんな。」
「そう吾はここの文官ではありません、あなたの副官でもありません。
吾はあなたの側近です ただの従者です。今は守天殿の秘書です、個人的なね。」
皮肉な口調に柢王はため息で答えた。
「役職名とか地位とか必要か、俺の副官で参謀はおまえだ。おまえがいないと報告書一つかけない。
執務室にドアマンやお茶汲みが入ったところでティアの処理能力が上がるなんて思っちゃいない。」
「でも」なお言いつのろうとする桂花を柢王は思いっきりだきしめた。
言い争いがしたいわけではない。この恋人はダダをいいたいのだ。
置いていかれたさびしさと放っておかれたせつなさが艶をおびた紫水晶の瞳に宿っている。
「おまえが必要なんだ桂花 おまえは俺のだ」

その夜柢王は人声で目をさました。
廊下を走る音 ティアを呼ぶ声 なにかあったのか。
起きようとしたが手が動かない。見ると桂花が抱くようにして眠っている。
大事な者はここにいるからと 外の騒音も桂花の眠りを妨げない。
柢王の目じりが下がる。小ぶりな頭を優しくもちあげ 自分の肩にのせる。
汗の引いた桂花の肌が冷たい。毛布を引き寄せ しっかりとくるむ。
今夜はおまえの温石にでも抱き枕にでもなってやっから ゆっくり眠れ
囁く声に応えたのは 満足そうなため息1つ
           終わり


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