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投稿(妄想)小説の部屋 Vol.3

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No.222 (2008/06/05 23:34) title:天使という宝物 2
Name:砂夜 (121-83-4-163.eonet.ne.jp)

チュン チュン チュン。。
ーもう朝になっていたんだな。。。。なんか忘れてる。。?。。なんだっけ?
今日はまだ金曜日。ティアは会社に行くはずで、ガバっと起きるも隣を見たらもういない!

「あれ?もう起きたの?」
具合が悪いならまだ寝てるといいよ。
ちょうど部屋に戻ってきたティアが言うけれど。
「でも、会社は!?」支度しないとお前・遅刻するじゃんか!
あわてて時計を見るも、もう8時近くになっている。これでは本当に遅刻決定だ!
「大丈夫。もう会社には電話を入れてあるよ。」
安心するようにと笑いながらティアは言う。
仮病を使おうと思っていたら、電話の相手が上司のアウスレーゼ様で、しっかりバレバレだったよ。
あきれられながらこうも言われたと。。

ーアシュレイは、いい嫁になろうと気を使いすぎたのだろう?
  たまにはそなたが、嫁さん孝行でもしたらどうだ?

「だから、お休みさせてもらっちゃった。。みんなには内緒だけどね。」
ずる休みは初めてだけど、たまにはこんな日もいいじゃない?
後ろ姿が小躍りしそうで、楽しそうに見えてくる。
「朝ご飯ができたら、また呼びに来るからね。」 
もう少し寝ているように言われて、申し訳ないながらも、なんだかくすぐったい。
さすがにもう目が覚めたから、そのまま手伝いながら、2人遅い朝食を済ませゆっくり過ごす。

親父も母さんも、みんな今頃どうしてるのかな?
もともと、父親の会社が今日から社員総出で旅行中。
家族が一緒でもいいというので、幼い弟妹も学校と幼稚園を休ませた。
ティアは会社があるから、最初からアシュレイは行くつもりは無かったけれど。
いつもは賑やかな家の中。しーんと静かで少し寂しい。
でもたまにはティアと2人きりなのも、良いかもしれないな。
洗濯も洗い物も、家事をするのも全部2人がかりで。
はかどっているのか、お互い邪魔し合っているのだか、
笑いながら作業をしつつ、早くも日が暮れていく。

「嫁さん孝行・真っ最中なんだからね」
君は手伝っては駄目だよと言うから、アシュレイは横でうろうろ見ていたけれど。
今日の夕飯はなんだか力が入っている。
レバニラ・餃子・スタミナスープ・・・
なんでこんなにスタミナ料理満載なんだ?と聞いてみたら
君は昨夜、貧血起こして倒れたでしょう?と言う。
そういえばそうだったなぁ。。と思い、ずっとティアに家事をやってもらってばかりいたから
あと片付けは自分がする!と宣言した。

「それとね。。柢王がお隣さんから貰ってきたんだけど。。ちょうどいいから飲んでおきなさいって。」
ガサゴソ・ガサゴソ・袋の中から取り出してみたのは、お隣自慢の自家製にんにくたっぷりの滋養剤!
臭いは抑え目だから、そんなきつくは無いんだって。貧血にもものすごく効くらしいよ?
・・・貧血対策に にんにく入り滋養剤?
なんだかすごい気がするのだけれど、昨夜倒れた身では文句も言えない。
意を決してコップ1杯飲んでみる。
「うん。。薬くさくもないし意外と甘い。。ってなんでティアまで飲むんだ?」
その向こうでは同じようにしているティアがいる。
まさか体調崩していたのか?びっくりして聞いてみるが。
「全然なんともないよ?健康に良いと聞いていたからね。私も飲んでみようと思っただけ。」
本当に思ったより甘いかも。からだがぽかぽかしてきたね。
体調を崩した人に勧めるのは、おかしくは無いけれど、
どうして勧めた本人までもが同じ食事と滋養剤?
自分が新婚だってことを忘れていなければ、2人きりならどうなるかは分かってもいいものを。
そこまで気が回らない、というか気がつかない天然アシュレイに、着々と作戦を実行しているティアは。
可愛い奥さんが自分の作ったご飯を、一生懸命に食べてくれるから、嬉しくてたまらない。

「さて、片付けるかな♪」
それくらいはできるから!戦闘準備開始とばかり、
アシュレイが身に付けたエプロン姿に、ティアは目が釘付け状態!!

「ア・・・アシュレイ?そのエプロンはどうしたの!?」
。。フリルひらひらの真っ白いエプロン。
いつも可愛いアシュレイの可愛さが、ティアの目には2倍にも3倍にも増幅されて見えている。
更には、新婚さん○らっしゃーい と幻の声が聞こえるのは何故なのか?

まさか、隣で妄想ぐるぐる回っているとは、思ってもいないアシュレイは。
「あー。これ?似合わないだろ?」
どちらかというと妹・シャーウッドのほうが似合いそうなのにな。と言いつつも。
よせばいいのにティアの目の前で、くるりん♪と一回転!本人は笑いを取ったつもりらしい。
ティアの頭の中では(ブラボーーー!!)とラッパが騒々しく鳴り響く。
「俺達が結婚したばかりの頃にさ、カルミアとシャーウッドが2人だけで、プレゼントしてくれたんだ。」
ただ、貰った時はいやーなおまけがついていたけどね。。

ーーお姉ちゃん料理の腕が上がる(かもしれない)ように、
  神様にお願いしておいた、魔法のエプロンだよ!絶対使ってね!
2人とも目を輝かせて言ったのだ。。

「余計なお世話だなんだけどなぁ。」アシュレイ1人笑いながら当時を思い出す。
・・・だけどこのエプロン、なんで今まで思い出さなかったんだろう?
誰かが言った注意事項があったんだよなぁ?思い出せねぇや。。
そのままエプロンの存在を、忘れていれば良かったと後で後悔するが、
その注意事項に「あいつと2人きりの時だけに使え」というキィワードがあったのだ。
それは普段は思い出さなかったのに、何故今キィワードがぴったりと当てはまったのか。。
今回の嫁さん孝行大作戦に、つられて出て来たに違いない。
自分には似合わないという思い込みと、
この家で、2人きりという事があると思わなかったアシュレイは、
タンスの引き出しの奥に大事にしまっておいたのに。。
・・・ティアの(無意識)執念。おそるべし・・

思いがけず可愛いアシュレイを、じっーくり堪能できたティアは、
ここまで我慢できたのは、奇跡だったというしか言いようが無い。
「アシュレイ。片付けはあとで私がしておくからね!」
・・・なんだか雲行きが怪しい気がするアシュレイ。
自分の頭の中に、やっと危険信号と警告音が鳴り響くが、時はすでに遅く逃げられない。
嫁さん孝行と題した数々のお手伝い。それは体力を消耗させないため?
夕飯時のスタミナ料理に、滋養剤。それも体力をつけるため??
そして何より フリル付き真っ白エプロンの可愛い姿!(ティアのみ絶賛!)が、ティアの暴走に拍車をかける。
そして そして 2人っきりーー!! やばい・やばいってーー!!

ーー「ティアと2人きりの時だけに使えよ。」
  でないと何が起こるかわからないからな♪

そう忠告したのは、
幼い弟妹のプレゼントの買出しについて行ってくれた、柢王で。
なのに何の因果か偶然か?昨夜は隣の自家製の滋養剤までご提供♪
アシュレイはそのまま お嫁さん孝行の総仕上げを受けるのだった。

翌日・今度こそ起き上がれなくなったアシュレイは。
ティアに可愛い文句を言い続け、
3食のご飯を作ってもらったのは言うまでもない☆
     
     *

「ばぁ〜♪」
「あー!駄目よ〜・小アシュレイちゃん!!」
「お兄さん・息苦しいんじゃない?」
・・なんだか耳元がうるさいような?
ボスン!
何?顔の上に何かが落ちてきた!!
慌てて目をあけてみるけど、目の前は真っ暗で。
「こーら、お前達。ちゃんと見といてくれって言っただろう?」
慌てて母アシュレイにひょいっと抱き上げられて、
やっと見えたのは我が息子のオムツカバー。しかもイチゴ模様だから面白い。
縁側でゆっくり本を見ていたティアに、いつのまにやらハイハイで側に来ていた赤ん坊。
気がつかないうちにティアが眠ってしまったのが運のつき。
いい目標があるとばかり、よいしょ よいしょと よじ登り、山頂を目指していたのだが。
その山はたとえ落ちても呼吸をするから、面白い動きをするわけだ。
ご機嫌に笑っていたら、面白いところから離されて。
「ばぁぶ〜!」なんだか文句を言っているらしい。
「なんだ?パパの側がいいのか?」笑いながら赤ん坊に聞いてみる。
「いいよ。私に寄越してくれる?」
仰向けになったまま、両腕を愛妻アシュレイのほうに出す。
「あ。ごめん起こしたな。。」はい、と赤ん坊を渡せば、ティアはそのまま胸の上に寝かせてみる。
普通におきていたら抱き上げている格好だけど、寝ていれば胸の上で呼吸のたびに動くから
やはり面白いのか、またもご機嫌にはしゃいでいる。

「あれ?なんだ2人とも。眠っちゃったのか?」
「なんだか、2人とも面白いね」
「同じ格好で寝ているよ〜」
しかも(猫の)孔明まで同じ格好だよ!
なんでばんざいをしているんだろうね?

・・・もう少ししたら起こそうか?
柢王と桂花も見えているし。

クスクスクスクス。。
みんなのひそやかな笑い声を子守唄にして、優しい時は流れていく。

     *

そして更に時は流れて今。

「ばぁ〜♪」
「あー!駄目よ〜・氷玉ちゃん!!」
「お兄さん・息苦しいんじゃない?」
「うわぁ、パパから降りてください〜氷玉ちゃん!」
・・なんだか耳元がうるさいような?
ボスン!
何?顔の上に何かが落ちてきた!!
慌てて目をあけてみるけど、目の前は真っ暗で。
「こーら、お前達。ちゃんと見といてくれって言っただろう?」
慌てて柢王に抱き上げられて、
(1度あれば2度もあるのかな?なんだか懐かしいことが起きている気がするんだけど。)
そして見えたのはの柢王の息子のオムツカバー。しかも小鳥模様だから面白い。
「私は同じ目に逢う運命なのかな?・・小アシュレイ。昔、お前に同じ事をされたんだよ?」
笑いながらティアが起き上がる。
「えー?僕、そんないたずらっ子じゃ、ないってばぁ!」
気がついたら周りは大爆笑。
ぶうと頬を膨れるも、氷玉に遊んでくれとせがまれて、すぐに忘れてしまうのはご愛嬌。

 
あの商店街の噂から、それ程月日を置かずして、この世に生を受けた我が息子。
噂とどちらが先だったのか分からないけれど、
いつかは授かって欲しい、とアシュレイと言いあっていたあの会話。

その時願った天使がここにいる。


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