投稿(妄想)小説の部屋 Vol.3
「君、盗みは立派な犯罪だよ?」
「アウスレーゼ様!?」
「ふふっ、今は焼き芋売りのお兄さんだよ。さて、代金を頂こうかな」
優雅に焼き芋の絵が入ったエプロンを見せるアウスレーゼに、ティアとアシュレイは気まずく視線を絡ませる。
「…」
「おやおや、本当に泥棒だったのかい?いい度胸だね」
「違うっ!財布を忘れただけだ!!」
「ふーん」
何か言われるよりも、アウスレーゼの視線が怖い。
「ううっ、すぐ取りに帰るから!」
走って帰ろうとするアシュレイの肩に手を置いてアウスレーゼが囁く。
「それより、体で払ってもらおうかな」
「なっ!?」
「アシュレイと僕は結婚しているんですよ!」
アシュレイを背中にかばったティアは自慢げだが、アウスレーゼは首をかしげた。
「何か、問題があるだろうか?…あぁ、不倫も楽しそうだね。むしろ、好都合ではないか。マダムキラーと呼んでおくれ。ふふっ」
マダムキラーってホストじゃないんだから…ティアは頭を抱え、なんて恥ずかしい事をとアシュレイは頭から湯気が出そう。
「…アウスレーゼ様。マダムキラーなんて言葉をどこから…」
「変態っ!!」
「ふふっ…交番に行ってもいいのだよ?磯野さんちのアシュレイがってみんなに言われてもかまわないのかな」
そんな事になったら、会う人みんなに、今日は財布を持っているか聞かれそう…それはイヤだと焦るアシュレイ。
「ううっ」
ここは夫として、妻を魔の手から守らなくては。
「アウスレーゼ様っ!!…代わりに僕が…」
「何言ってるんだ。俺の所為なんだから俺が責任をとる!」
アウスレーゼがキラーなのはマダムだけではないのに、ティアに身代わりなんてさせられるわけがないと、アシュレイ。
「駄目だ、アシュレイ。何をされるかわからないんだよ」
「おやおや、期待には答えないといけないかな?」
アウスレーゼの流し目に色香がこめられる。やぶ蛇だ。ティアとアシュレイは手に手を取り合って今にも逃げ出しそう。
「ふふっ。仲良き事はよき事かな。逃げたらどうなるかわかってるね?…まあ、二人一緒でも、我はかまわないよ。さあ、おいで。」
気分はドナドナ…楽しそうなアウスレーゼに連れていかれて。
「ちょっ…やめっ…そこ触んな…」
アウスレーゼの手から逃れようとアシュレイは身を捩る。
「駄目なところばかりではないか。ん?」
「んっ…そこもダメだって!くすぐったいだろっ!!」
そんなわけで、アウスレーゼは「これも罰だよ」とアシュレイにフリルのエプロンを着せている。
「相変わらず、敏感だね」
「相変わらず…?って、どう言う事?アシュレイ!」
アシュレイにエプロンを着せるのは僕だけの特権なのにと悔しそうに見ていたティアの目が吊り上がる。
「な、なんて事言うんだ!何もないって!!(あれは、内緒だって言っただろ!)」
小言のつもりのアシュレイ。
でも、聞こえてるよ。
アウスレーゼ様の意味深な笑みに、ティアは「夜が楽しみだね」と呟いて、アシュレイのお仕置き決定か?…
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