投稿(妄想)小説の部屋 Vol.3
再び新婦控え室。
コンコンコン。。。ガチャ。
入り口にいるスタッフと着替えを終わらせているのか入っても良いのかどうかを確認し入室するティア。
スタッフに何か頼み事を指示して出て貰っている。
ティア 『用意はできましたか?会場に行く前にお願いがあるので聞いて頂きたいのですが。
それとご一緒におられるアシュレイさんにも。。っ!?』
突然名前がでてびっくりしているアシュレイ。だけど見覚えのある顔?というより忘れられる顔なんかじゃない!
桂花・アー 『あっ!』
ティア 『いちごちゃん!?』
アー 『お前〜っ!この前の痴漢野郎!!って何が いちごちゃんだ!』
真っ赤になるアシュレイ。思わず出た言葉が間違っているのは気が付いていたが思いあたる(いちご)に過剰反応気味。。
桂花 『アシュレイ、痴漢は違いますよ。あの時は吾も側にいたでしょう?もしかして今日の新郎役の方ですか?
お願いとは何でしょうか?って何2人とも赤くなっているんですか!?』
(そういえばあの時も『いちご』に反応していた。。何故?)
桂花が分からないのも無理はない。側にいたと言えど本当はたまたま通りかかっただけだし騒ぎがほぼ終息してからだから
知っているのは結果だけなのだ。。
電車の中で痴漢にあっている女の子を見るに見かねたアシュレイは止まった駅のホームで犯人らしき人を引きずりおろし
駅員に引き渡そうとした。しかしその隙をみて犯人は逃げ出した。逃がしてたまるかっ!と追いかけるアシュレイ。
ホームから階段を駆け上がり追いついた犯人と乱闘騒ぎに発展。犯人に蹴りでとどめを入れようとしたらやはり場所が場所。。
自分が足を踏み外し数段下にいたティアを巻き込みながらころげ落ちていった。
アー −−−ごめんっ!大丈夫か!?ってなにすんだよ!!
偶然とは恐ろしい。下敷きになったティアの上。。よりによって可愛い小柄のイチゴパンツが彼の正面に丸見えだったのである。
一方ティアといえば軽いとはいえ成人女性1人を受け止めつつそのまま階段下まで落ちれば無事でいる訳がない。
アシュレイがティアになにかしら言っているのだが思考が働かずただ真っ赤に表情を変えるアシュレイが可愛く見える。
そしてしっかりイチゴ模様が目の裏に焼きついたティアはその顔に間抜けにも一筋の鼻血。誤解するなというのも無理というもの。。
アー −−こんの変態!!(。。バチン!!)
真っ赤になりつつ反応するが彼がまったく関係ない事に思い出すも時すでに遅し。誤解されたまま張り倒され気を失ったのである。
しかしよほどイチゴが強烈だったのだろう。気を失っても何度か小さく『イチゴ』とつぶやいていた。
それを聞いたアシュレイ。相手は怪我人にもかまわずにまた拳骨で一撃。。いくらなんでもやりすぎである。
今度こそ撃沈状態のティアにしまった!と首根っこ掴んで前後に揺らすが気を失った人間に何をしても無駄というもの。。
これでは一体どちらが被害者でどちらが加害者なのだか。(いやこの場合加害者はどちらでもないのだが)
アシュレイの頭の中は真っ白になってしまったのでる。。
遠くから階段をころがり落ちる様子を見かけた桂花は、アシュレイがすぐ下の人を巻き込んで落ちていったのも見えていた。
夕方のラッシュの人だかりをかき分けなんとか側にたどりつけば顔面蒼白で放心状態のアシュレイと横たわった見知らぬ男が1人。
騒ぎを聞き駆けつけた駅員と警察に分かるだけの事情を説明しその時の騒ぎは落ち着いたのだが。。
どう考えても無関係の人間を巻き込んでいるはずなのに何度この真相を聞き出そうにもアシュレイは絶対言おうとしないのだった。
ティア 『痴漢は誤解だと思うけど?。ええと。。いちごは可愛くて君にお似合いだった。。から。』
桂花 (何も律儀に答えなくても)。。なんとも。。ため息。。
ますます赤くなるアシュレイ。。
アー 『似合いって言うな〜っ!!!』(こいつには2度と会いたくなんかなかったのに!)
涙目になりながら怒鳴り返すもだんだん声が小さくなる。。表情がころころ変るアシュレイを見ていて飽きないのはなぜなのか。。
ティア− (やっぱり、あの時思った通り。。この娘、表情が良く変わる。。この娘なら。。この娘だったら私の願いが叶うかも
知れない!あの兄が相手では普通の神経ではもたないだろう。。)
桂花 『本当に2人とも!?時間がないのではありませんか?』いい加減急いで欲しいと思いながら桂花が言う。
はっと思い出しティアがアシュレイに向かい
ティア 『あらためて言います。私と結婚してくれませんか?』
アー・桂花 『は!?』(何をいいだすんだ!?)
ティア 『あ。もちろん振りで構わないのです。このままでは桂花さん?貴方と婚約発表になりかねなくて。。
会場に行けば協力者がいますからタイミングを見計らってその方と一緒に逃げて下さい』
桂花 『アシュレイはどうなるんです?そのまま置いては行けないですよ?』
ティア 『こちらも時期を見計らって会場から逃げ出します。どうも実家が絡んでいるようですから花嫁役が違うなら
イベントの発表はしても婚約発表にはならないはずです』
アー 『本当に?絶対大丈夫だな!?』
ティア 『はい。もし婚約発表になっても実家がもみ消すと思います。というより普通のイベントで終わるでしょうね。』
絶対に大丈夫だと言い切るティアにこの数日柢王と桂花の事をなんとかしてやりたくて、でも出来ずにいたアシュレイは
アー (一体こいつは何者なんだ?これだけ大掛かりな事をする程の。。ああ、する奴だな。。)
信用できると思えないのにその手に乗っていいのか悩むアシュレイ。しかし時間が迫っているからもたもたしている場合ではない。
しぶしぶ承諾したアシュレイは予備にあった花嫁衣裳に着替えるのである。。
予備とはいえさすがにこれは純白ではない。どちらかというと代役用に用意してあった丈の短いワンピース?のような赤いドレス。
なぜか最初からアシュレイにあしらえた様にサイズもぴったり。桂花用に用意されていたらまず着れなかっただろう。
なりゆきとはいえ、ウェディングドレスを着れたアシュレイはほのかに微笑み照れながらどうかな?とティアに向き合う。。
でもやはりティアの顔を見ると何かを言いたげに顔を曇らすのだがあまりの可愛さに見とれていたティアはまだ気づかない。
ティア (かっ。可愛い!!やっぱりこの娘をお嫁さんにしたい!)決定的瞬間というべきなのだろうか?
顔を合わせるのも2度目、相手の人柄も知らないのに自分の人生設計にアシュレイの存在が組み込まれたのである。
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