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投稿(妄想)小説の部屋 Vol.3

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No.114 (2007/05/09 22:44) title:統一地方選挙(10)
Name:モリヤマ (i220-221-231-207.s02.a018.ap.plala.or.jp)

 
山凍  「明日は出る直前に下穿きを脱ぎ捨てていかれませんように。
     あと、孔明の上でM字開脚もどきも、絶対駄目です。
     ……聞いておられますか? ネフィー様」
 
 選挙運動から戻った暉蚩城。
 その城内に設けられたネフロニカの選挙事務所部屋。
 選管からのイエローカードもあって、今日の駄目出しを事細かにひとつひとつ挙げ連ねる山凍を、ネフロニカがじーっと見つめている。
 
ネフィー「フフ…。いいねぇ、そのハチマキ」
山凍  「は…?」
ネフィー「理想的な長さだ。そう思わないかい?」
山凍  「…よく分かりませんが」
 
 長さなど、単に頭に巻いて後ろで結べればそれでよいのではないのか?
 ネフロニカの真意が読めず、山凍が不思議な顔を見せると。
 
ネフィー「…うーん。長さはいいけど、おまえにはそんな布きれよりも
      鎖とか、そういうメタリックなもののほうが似合うかな」
山凍  「鎖でハチマキは、ちょっと…」
ネフィー「あはは、バカだね山凍。誰がハチマキの話をしてるって?」
 
 (あなたが……)
 
 とは、たとえ口が裂けても言うつもりはない山凍だった。
 
ネフィー「縛るのにだよ。おまえだったら、こう…太目の鎖でもいいけど、 
      細めのもので手首とかグルグル巻きにして、もちろん両手は
      万歳の格好で、壁なんかに張りつけてみるんだ。足も忘れず
      にね。鞭の傷跡なんかあって、多少乱れた着衣から、破れて
      血が滲んだ皮膚が垣間見えでもしたら……フフ」
 
アウ  「時間終了だ、ネフィー」
 
 恍惚としたネフロニカと、ちょっと引き気味の山凍の目の前に、突然アウスレーゼが現れた。
 
山凍  「これは…お忙しいところ御足労いただきまして」
アウ  「いや、そなたにも苦労かけるな」
山凍  「いいえ。私は…苦労などとは思っておりません」
ネフィー「そうだよ、変なこと言わないでほしいね。…わざわざそんなこと
      言いに来なくても、着替えたらちゃんと戻って変化を解いて、
      ティアランディアと交代するよ」
アウ  「別にそなたのことを信用してないわけではない。ただ、我も一度、
     遠見鏡越しにではなく、山凍殿にじかに挨拶しておきたいと
     思うてな。…山凍殿、此度のこと、心から感謝する」
 
 天界人では、唯一、ネフロニカとティアの交替事情を知る北の王に、アウスレーゼは直接会って礼を言いたいと思っていた。
 
山凍  「いいえ。…私は喜んでお仕えさせていただいております」
 
 それに、と心の中でだけ山凍は続けた。
 
(いま目の前のネフィー様は、本当ならここに在るはずのない、やり直す術などないと諦めていた、奇蹟の生なのだ。あなたに二度と、寂しさも絶望も感じさせない。そのためなら、私は……/by:岩◎水君な山凍)
 
山凍  「それでは、ネフィー様。また明日、お待ち申しております。
     …ひとつ言い忘れておりましたが、今日で用意しておいたポケット
     ティッシュの在庫が切れました。明日からはティッシュに頼らず、
     この山凍、命を賭して領民の流血を事前に阻止いたす所存です。
     ……ネフィー様も、さきほど私が申し上げましたこと、真剣に、
     御願い致します」
 
 この三日ほどで、ティッシュちぎって丸めて領民の鼻につめるのが得意技のひとつになってしまった山凍の、心からの訴えだった。
 
ネフィー「私はいつだって真剣だよ。…雛のくせに私に指図するなんて。
     可愛くなくなったね、おまえは」
 
 そうしてネフロニカは、山凍の伸びた髪を一掴みすると、起用に三つ編んで手に持った自分のヴァイオレット・ハチマキでグルグル巻きにする。
 
山凍  「ネフィー様…」
ネフィー「フフ、可愛い。いいかい、明日、私が来るまで解くんじゃないよ」
 
 そう言うと、ネフロニカとアウスレーゼは消えた。
 
山凍 「以前も奔放な方だと思ってはいたが……」
 
(今は憑き物が落ちたかのように、一段と弾けられたような……)
 
 後に残された山凍がそんなことをボーっと考えている陰で、その左耳の横に揺れる可憐な一房の三つ編みに、北の老重鎮達が涙をぬぐっていた。
 
 
 
 
ところ変わって、天主塔・執務室。(現・選管部屋)
 
『あうすれーぜ、ねふろにか、オカエリー』
アウ  「ああ、デンゴン君、ただいま。一人にして悪かったな」
ネフィー「あー、疲れた! それじゃあ末っ子と交代しよっかな」
 
 そう言ったネフロニカをアウスレーゼが引き止める。
 
アウ  「ネフィー。そなた、実体…というか、自分の身体が欲しいのか?」
ネフィー「別に…。まあ、あればあったでおもしろいだろうけどね」
アウ  「やはり、身体がほしくて守天選に立候補したのではないのだな」
 
 アウスレーゼの問いに、さあね、とネフロニカは興味なさそうに答えた。
 
アウ  「ネフィー」
ネフィー「だって、誰も立候補者がいなかったら必然的にティアランディアが
     守天だったんじゃないの? だから他の兄弟たちとも話し合って、
     私が代表で出たんだ」
 
 ――― 話し合って…?
 もし、山凍がこの場にいれば腰を抜かしたかもしれないフレーズだ。
 
アウ  「だから…出た、とは?」
ネフィー「末っ子が義務だけでなろうと思うなら、代わってあげたほうが
     いいかと思って」
アウ  「そうか」
ネフィー「守護主天なんて、…他の誰にもさせたいと思えるものじゃない。
     でも、そんなわけにはいかないことも分かってる。……だから、
     私がなろうかと思って。私がなれば、少なくとも兄弟達が助けて
     くれるからね。末っ子は全部自分でやろうとするから、心も身体も
     どんどん疲弊して擦り減って……見てるこっちまでつらくなる」
アウ  「良い子だ、そなたは」
ネフィー「…別に、私がつらいわけじゃない。他のお人よしな兄弟達の
      話だ」
アウ  「そういうことにしておくか」
ネフィー「しておくか、じゃなくて、そうなんだよ!」
『ねふろにか モ、ヤッパリ、てぃあらんでぃあ ト 似テルカモ。』
ネフィー「はぁーーー!? どこがっ!」
『意地ッ張リ ナ トコ トカ?』
ネフィー「むかつく…。アウスレーゼ様、この人形、壊していい?」
アウ  「はは、デンゴン君は三界主天様直々の人形なのでな。壊そうと
     思って壊れるものではない」
ネフィー「なんか、いっそうむかつく…」
『かるしうむ不足…?』
アウ  「…デンゴン君はどんどん賢くなるな。
     ちなみに、そなたの…守護主天の身体も今の三界主天様が創ら
     れたものゆえ、ある意味そなた達は兄弟みたいなものだな」
『我ノ 弟ー?』
ネフィー「なんで私が下なんだよっ。ていうか、人形と兄弟になった覚えは
     ないね!」
『ソシタラ、てぃあらんでぃあ モ 我 ノ 弟ー?』
ネフィー「だから…っ! 兄弟なんかじゃないって言ってるだろっ」
『…ソシタラ、江青タチミタク、従兄弟 ナノ…?』
ネフィー「ああもうむかつくーーーー!!」
アウ  「……ネフィー。デンゴン君はまだ子供なのだぞ?」
ネフィー「子供なら、なんでも許されると思ってる? アウスレーゼ様」
アウ  「いや、そうは思わぬが。デンゴン君は、我のお気に入りでもある
     のでな。いじめないでやってくれ」
ネフィー「…………私は?」
アウ  「なんだ?」
ネフィー「私は、アウスレーゼ様のお気に入りじゃないの?」
アウ  「…うーむ。」
ネフィー「どうして悩むのさ」
アウ  「…そなたは我のお気に入りになりたいなどと思ってはおらぬ。
     そうではないのか」
ネフィー「…とにかく! もし私が守天になったら、ティアランディアの
     身体は私のものだからね。…前はもともと私のものだったんだし」
アウ  「うーむ…」
ネフィー「…小猿もお気に入りだものね。あの子を悲しませたくない?」
アウ  「アシュレイか…」
『あしゅれい? ナニナニ? あしゅれい ガ ナニー!?』
ネフィー「なんでもないよ! …全く、ティアランディアもアウスレーゼ様も、
     …この人形もっ!! みんな趣味が悪い、悪すぎるよ!」
 
(そういえば、彼も小猿派らしいことを言っておったな)
  別所で選管の手伝いを頼んでいるひとりの青年の姿が、アウスレーゼの脳裏をよぎる。
 
『ダッテ、あしゅれい ッテ、最高ナンダモン』
ネフィー 「…おまえ、最高の意味知ってて言ってる?」
『当タリ前ダロ。アトネ、素敵?』
ネフィー 「はぁぁぁぁ…!? おまえ、素敵の意味分かってて言ってる?」
『当然ダロ。ソレニ、てぃあらんでぃあ ダッテ、言ッテタモン』
ネフィー 「…なんてさ?」
 アウスレーゼの顔がちょっとひきつる。
『エトネ、あしゅれいハ…』
アウ  「ま、待て! デンゴン君。そこから先は言ってはならん!」
『ナンデー?』
ネフィー 「ハハーン…」
 
(遠見鏡でデバガメねぇ……)
 
ネフィー 「大丈夫だよ、アウスレーゼ様。私の口は貝より固いからね。
      アウスレーゼ様たちが末っ子と小猿の情事を覗いてたなんて、
      誰にも言わないよ?」
アウ   「覗いてたわけではないぞ。たまたま、な…」
ネフィー 「たまたま見ちゃったんだー。あはははは!」
『ナニナニ? ねふろにか、ナニガ楽シイノー?』
ネフィー 「なんでもないよ。…それより、ティアランディアがなんて言って
       たって?」
『アノネ、』
アウ   「ネフィー。なにか望みがあるなら言うてみよ。できることなら、
      ……善処する」
ネフィー 「ええー? 悪いなー? じゃあ、北にポケットティッシュを
       死ぬほど贈ってもらえるかな? 雛ってば、なんだか小舅
       じみてきてうるさいんだよねぇ。…ま、そういうとこも可愛い
       んだけどさ」
 
(そなたと付き合えば、誰もが小舅や小姑になるであろうな…)
 
 気持ち若めに変化したネフロニカの嬉し楽しそうな様子に、アウスレーゼは心でそっと涙をこぼした。
 
 
 
 翌早朝。
 天主塔急便の朝一便で、北の毘沙王の元に、選管からの選挙見舞品として大量の箱が届けられた。なにごとかと驚いた山凍が開いたその巨大な箱の中には、「やわらかポケットティッシュ」の束がぎっしりと詰め込まれていた。
 
 
 


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