投稿(妄想)小説の部屋

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No.427 (2002/03/25 00:18)投稿者:水無月 伽堕

雨上がりの空に

 はぁ〜。
 今日もため息ばかり…。3日前二葉と別れってからはずっとこの調子だ。
「まだ一日も経ってないのに…。」
 こんなに会いたくなるなんて、どうかしてる。雨のせいかもしれない。
「二葉…。」
 そっと呼んでみる。答えなんて返ってくるはず無いのに。いつもならこんな事無いのに。
「本当に、どうかしてるよ…。」
 憂鬱だった。何もかもどうでもよくなるような…そんな感じ。
「少し…眠いや…。」
 眠ってしまおう。どうせする事など無いし…。少しだけ…。

「…お…い…!!」
「…ん、まだ、眠い…。」
 誰…? 誰かの声がする…。二葉…? いや、まさか。二葉は撮影が忙しいって言ってたし…。
「忍!!」
「…?! ふ、二葉?!! どうしてここにいるの?!」
 ビ、ビックリした…。気が付けば二葉の顔が目の前に現れた。
「なんか悪い夢でも見たのか…?」
 優しく問い掛けて俺の頬に手を伸ばし、そっと撫でた…。い、いきなりどうしたんだ…?
「仕事は…? 撮影は終わったの…?」
「あぁ、さっき終わったとこ。お前ん家行こうとしたら桔梗がここだっていうからさ…。」
 あぁ、そうか。俺小沼の家に来てたのか。
「なぁ、なにかあったのか?」
「ど、どうして…?」
「お前うなされてたぜ? それに…。」
 そう言ってまた頬に手を伸ばしてくる。
「な、何…?」
「涙の跡…。」
 自分の顔が赤くなってくのが分かる…。
「俺には言えない事か? …お前がどんな夢見てたのか知りたい…。」
 今度はギュッと抱きしめられた…。
「ちょっと、二葉…、きついよ…。」
 そう言って見せたけど、本当はうれしかった。二葉の抱きしめる腕の強さが心地よくて…。
「もう少し寝てろよ…。起きるまで側にいてやるから…、な?」
「うん、もう少しだけ…。」
 そう言って俺からも二葉を抱きしめた。さっき、どんな夢を見てたっけ…? 今が幸せすぎて思い出せない…。優しい腕に包まれて、俺はまた眠りに落ちてゆく…。今度見る夢はきっと幸せなモノだろう。
 だって、俺の心は今こんなにも幸せに満ちている。
 憂鬱に感じていた雨はいつの間にかやんでいた…。
 きっといい夢が見られる…。そんな気がした…。こんな気持ちにしてくれるのはきっと、お前だけだね…。おやすみ、二葉…。


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