投稿(妄想)小説の部屋

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No.277 (2001/06/26 17:04) 投稿者:じたん

煙草

 灰皿のふちにトン、と音をさせて灰を落とす仕草がきまっている。
 次の煙を吸い込むまで、ほんの少し間を置くのも。
 新聞を読みながら、ほんの少し考え事をしながら。
 煙草を咥えるまでのほんの一瞬、薄く唇を開くのも。
 ゆっくりとすい込んだ煙を吐き出すときが、なんだかため息まじりのようで。
 彼の息使いをそっと数えてみる。
 眠ったふりをしながら、肩にもたれて、ゆっくりと上下する筋肉の動きを感じてみる。
 12・・・・・・13・・・・・・14・・
 そこまで絹一が数えたとき、鷲尾の長い腕が肩に廻された。
 そのまま頭を顎の下に抱き寄せられる。
 反対の方で、煙草をもみ消す気配。
「こうしててやるから少し眠れ。」
 憎らしいほど、甘えさせ上手なかれはずっと大人で。
「はい・・・。」
 きっと、いつまでもかなわない。


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