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投稿(妄想)小説の部屋 Vol.3

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No.72 (2007/01/19 18:31) title:果すべく宿命を受け
Name:碧玉 (57.154.12.61.ap.gmo-access.jp)

―――――――光?
 覚醒は突然だった。
 私は―――ティア。ティアランディア・フェイ・ギ・エメロード。
 気づいた時は守護主天という任についていた。 
 赤子の思考は徐々に育っていくものだと聞く。
 だが私は違う。
 必要な思考は既に身についていた。
 作られたものだから?
 だが組み込まれなかった事柄は、時と共に分かってきた。

『道草しないで帰るよういったでしょ!!』
『―――――』
『母さんは、母さんハッ・・・』
『―――ウワァーン!!ごめんなさい』
―――なんで、あの大人はあんなに怒るんだろう?―――
 遠見鏡をのぞき不思議に思う。
 だが次の瞬間、胸が熱くなる。
 ギュッと子供を胸に抱きしめる母親の姿。
―――あれは?―――
―――ああ、そうか、あれが肉親というものなのだろう―――
 手をつなぎ帰途する二人の姿は脳裏に色濃く焼きついた。

『守天さま、ごきげんよう。お茶はいかがですか?』
『守天さま、どうぞお先にお使いください』
『寒くありませんか?』
 天主塔から出て、通うようになった文殊塾。
 そこでは皆、優しくしてくれた。
『あなた様は特別な方ですから』
『誰も傷つけることができないのです』
 特別だから?・・・同情?・・・哀れみ?・・・
 私だけ、私は異種人種?
 魔族に仲間意識があるとは思わないが、時に羨ましく思う。

『あれで男かよっ』
『仕方ないよ、守護主天さまなんだから』
『あたらず、さわらずが一番さ』
 年を重ねるうち耳にする陰口。だが面と向って言ってくる者はなかった。
 いや、一人だけ、彼だけだった。
『やい!ティアランディアってどいつだ』
 アシュレイ。彼の存在は曇った空に射す一筋の光ように鮮明だった。

 彼は身をもって私に自信をくれた。
 シュラムによって蝕まれた肉体、毒素。この御印付きの力でなければ救うことはできなかっただろう。
 愛するもの、大切なものを救えた喜び。
 はじめて我が身の存在を肯定できた。
―――よかった、よかった。守護主天でよかった―――

 二つ年上の親友は巧みな言葉でもって私に自信をくれた。
『おまえの口添えがあったから、おまえの援護射撃のおかげで今の俺たちがあるんだ』
 蓋天城を飛び出し、桂花と二人で暮らすようになった柢王はそう笑った。
『大変なことは、すべて御印のせいにしちまえ』
『おまえはもっと、我儘言っていいぞ。我慢なんかするな。自分の意見を通して道を作れ。まわりになんか言われたら、結果なんかすぐ出るわけないだろって言い返せ』
 最後まで心配してくれた。
 その親友は、もういない。
 魂は転生した。だか、それは柢王ではない。

 アシュレイも自分の道を見出した。
 おまえの為に王になる―――と。
 私はどうしたらいい?
 繰り返し続く山凍殿との関係。翌日には跡形もなく消える記憶。
 だが身体は忘れない。消えず幾重にも積もっていく。
 私はそう長くないだろう。
 歴代の守護主天がそうだったように。
 私には転生などない。心も身体も次代へと再生されるだけのもの。
 誰の記憶に残ることもなく、すべてのものから忘れ去れ、すべてのものから。
 アシュレイっ、アシュレイにも?
 いやだ、それはいやだ。
 忘れないで―――
 ずっと愛してる。
『虜石を握らせようか』 
 誰?―――私?―――私の本心か?
 この醜い心、逝ってしまった親友が知ったらどう思うだろう。

 朽ちていく、朽ち果てて・・・
 助けて―――
―――誰、私を呼ぶのは誰?
       ティアランディア
       我が兄弟よ  
       悲しまないで我らがいる
       いつまでも我らが見護っているよ

       兄弟よ、やらねばならぬことは、まだある
       それが我ら守護主天に果せられた使命だから


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