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投稿(妄想)小説の部屋 Vol.3

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No.58 (2006/12/31 23:59) title:男には…!(K-1前夜)
Name:モリヤマ (i60-41-188-149.s02.a018.ap.plala.or.jp)

(3年前、テレビの格闘技番組に、もし『K-1』(川原ワールド最強王決定戦)があったら……とキャラ掲示板に書いた小話です。少しでも楽しんで頂けたら幸いです)
 
 
 師走のある日。
 開店前のロー・パーにやってきた忍の様子がなんだか変です。
 「具合でも悪い? それともなにか心配事?」
 カウンターの椅子に座る忍の前に温かいミルクティーを置き、そのまま忍の隣に腰を下ろした一樹がさりげなさを装い、そう問えば、
 「……二葉が、」
 二葉が、年末恒例の『K-1』に出場するというのです。忍は心配でたまりません。
 「なんとか出ないで済むよう、毎年いろいろやってみたんだけど…今年はもうなにも思いつかなくて…っ。二葉、絶対出るって、お正月はチャンピオンベルトで『ひ○はじめ』だって…。なんかもうすごい勢いでっ…」
 「今まであいつが出なかったってことのほうが不思議だったけど…。大変だったんだね、忍」
 忍のそれまでの、たぶん捨て身の頑張りを察して、一樹はねぎらいの言葉をかけました。
「一樹さんは、今年は出ないんですか…?」
 実は『K-1』参戦常連の一樹は、『魅惑の微笑』を最大の武器に毎年上位入賞者でもあったのです。
「うーん…そろそろ後進に道を譲ろうかと思っ」
「それって、二葉に、ってことじゃないですよねっ!?」
 必死な様子の忍に一瞬引きかけた一樹でしたが、そこは年の功、にっこり笑って否定します。
「まさか。そういうんじゃなくて、広い意味で、だよ。上位メンバーが毎年同じだと見てて面白みがないだろう?」
「そういえば…」
 入賞者っていつも同じような人たちばかりかも…、と忍も思わず頷きます。
 しかも一樹同様、どちらかといえば『大会の花』のように思える者ほど、なぜか毎年あまり有効とは思えない同じ技で勝ち残っていきます。
 たとえば桂花。どんなに優勢であっても油断は禁物、ついつい身軽な彼の誘いに乗って風下にまわった対戦者は身体が突然しびれてピクピクしだしたりします。
 たとえば絹一。一見たおやかな風情についついフラフラと近づく愚かな対戦者は、突然回し蹴られて意識不明に陥ります。
 毎年、同じパターンの技を食らって敗退する馬鹿者が多いのも、この『K-1』の特徴であり、盛り上がる要素でもあります。
 しかし、そんな中にも、強い者は確かに存在するのです。
 そして忍もそれを心配してるのでした。
 「二葉が強いのは、俺だって分かってるつもりなんです。でも、大会に出る人って、ちょっと普通(の強さ)じゃないでしょう!? …江端さんやサルヴィーニさんや…人間でもすごく強いのに、アルフレッドさんや、霊界(昨年度出場/閻魔・城堂さん)とか天界(昨年度出場/柢王・アシュレイ・山凍)からの出場も有りだなんて…。たとえ霊力とか特別な力の使用禁止ってルールがあったとしても、俺、鼻血出してぶっ倒れる二葉なんて見たくないんです。…そりゃ血にまみれた二葉もカッコイイとは思うけど…ちょっと見てみたいとは思うけど…………、でももし二葉の鼻が折れたり前歯が欠けでもしたらと思うと……っっ!!」
 「落ち着いて、忍。…かわいそうに。心配なんだね、二葉のことが」
 錯乱しかける忍をすかさず抱き寄せると、一樹は優しく労わるようにささやきかけました。
 「でもね、忍。男には、負けるとわかっていても戦わなければならないときがあるんだよ」
 「ハー○ックですね、一樹さん…!」
 一樹の言葉に、忍が顔をあげて答えます。
 「さすが忍。この前勧めたDVD、もう観たんだね?」
 「『真の男』について、考えさせられてます」
 頷き、潤んだ瞳で誇らしそうに答える忍に、一樹は満足げに微笑むと救いを与えました。
 「忍、二葉の鼻がちょっとくらい折れても心配ないよ。なんのために毎年守護主天殿がリング横に特別待機されてると思ってるの。(アシュレイが選手として出場するからです。/by:守天) 彼にかかれば折れた鼻なんて、チョチョイのチョイ、朝飯前だよ」
 「前歯も…?」
 「もちろん」
 「鼻血も?」
 「ノープロブレム」
 「…でももし、相手に髪の毛を掴まれて振り回されたりしたら? 髪の毛が、二葉の、あのきらきら光る金髪が、ごっそり抜けでもしたら…っ!?」
 「それこそ心配無用だよ。それくらいなら守天殿の手をわずらわせることもない。うちの顧客にアデ○ンスもアート○イチャーもリー○21も押さえてあるからね。育毛に増毛にヅラ、今はいろいろあるみたいだから安心して、ね?」
 「一樹さん…っ」
 一樹の言葉で少し落ち着いた忍は、気が抜けて涙がこぼれそうになりました。
 「泣かない、泣かない。…二葉の応援には一緒に行こうね?」
 緩みがちな口元を引き締めて、一樹は小さく頷く忍を優しく胸に抱きこみました。
 (……これだから)
 いつまでたっても、可愛くて手放せないんだよねぇ…。
 心でそう呟きながら、優しく忍の髪を撫でる一樹のおもてには、楽しくてたまらないといった笑みが浮かんでいます。
(…フフ、フフフ)
 子離れできない親のように、自分もほんの少しだけ、弟離れできない兄バカ入ってるかも…と改めて実感する一樹でした。
 
 そして、そんなことは夢にも思わず、一樹に話したことで悩みが消え心の霧が晴れた忍は、大晦日の夜にはどんな姿になっても目をそらさず、最後まで二葉を応援することを心に誓ったのでした。
 
 
 
終。
 
 


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