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投稿(妄想)小説の部屋 Vol.3

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No.310 (2011/12/07 19:10) title:欲しい物 後編
Name:真子 (p2247-ipbf2901marunouchi.tokyo.ocn.ne.jp)

(kd113151204178.ppp-bb.dion.ne.jp)

柢王のくれたチケットはゲームコーナーを完全制覇出来るほどあった。
射的やパンチボールはアシュレイがその運動神経のよさを見せた。迷路などティアも参加できるゲームのチケットは二枚あった。
「柢王の奴 初めから俺たちにくれるつもりだったんだ。」
好意を無にしない為にも 遊ぼうと思い定めた。
途中で「フリマに行かないか。」という提案をしてみたが、「同じ会場で年少組が演奏会やっているよ。」の言葉に諦めた。
そして 遊んで遊んで遊び倒した。手元のチケットがなくなると、辺りは夕闇、屋台は片付け始めている。
ティアは地面にしゃがみこんで ゲームの景品を小さい子に配っていた。両手に抱える程あった駄菓子や玩具はすぐになくなった。
「何か飲みたいな。さわぎ過ぎてノド乾いた。」ティアは子供達に バイバイと手を振り立ち上がった。
「オーイ ティア アシュレイ」向こうから柢王が歩いてくる。
「ほら これ文殊先生からご褒美の軽食だ。お前たちの分貰ってきた。それとなアシュレイのお姉ちゃんが 不用になった看板とか燃やしてダンスしましょうって言ってたぞ。」
アシュレイはたじろいだ、嫌いだ ダンスも付きものの音楽も。
「逃げよう。」ティアがアシュレイの手をとる。
「柢王 今日はとっても楽しかった、ありがとう。」
「よかったな。」
柢王はあたたかい笑みを浮かべて 逃げろと背中を押す。
ティアに引っ張られてアシュレイは走った。止まったのは、校舎の裏手 飼育小屋だった。
息を切らして駆け込んできた二人を動物たちが取り囲む。アシュレイは柢王から渡された包みを開け ジュースを見つけるとティアに渡した。
集まった動物は食べ物をもらえると距離をつめて来た。
「今 分けるからがっつくな。」と包んであった弁当を開ける。ナイフを手にしてオカズを切り分け それぞれの口に運んでやる。
「アシュレイ ナイフかしてくれる。」
「なんだ 袋が開けられないのか。かせよ。」
「違うよ こうしたかったんだ。」ティアは金色の紐を取り出すとアシュレイのナイフに結んだ。
「これいつも持っているでしょう。柢王と冒険に行くときも。だからこれは私の所に無事で帰ってこられるように お守りだよ」
「お守りって これお前の髪を編んだのか。」
「そう 女の子がミサンガ編んでいたでしょう、教えてもらって作ってみた。これだけしか成功しなかったけど。」
これだけ成功ということは、俺が朝から買いに行きたいと思っていたミサンガ、ティアお手製は最初からフリマに なかったのか。
欲しかったミサンガよりステキなお守りが手に入った。
「髪まで切って、何してんだか。これ汚れても知らないぞ。なくすかもしれないし。」素直に大事にするとは言えないアシュレイ。
「いいよ、また作るから。髪はのびるからいくつでも作れる。」めげないティア。
二人の周辺はホカホカでしたとか、もちろん動物の体温で。

時は下り、ティアの髪は短くなり、柢王の鉢巻が柄布となった頃の天守塔
「これがな、桂花の愛に包まれる俺。」先ほど持ち込んだ菓子の箱から出したのは、黒豆が入った紫芋の羊羹だ。
「これは、桂花を守る俺。」すみれの砂糖漬けがチョコレートでコーティングされている。
「バカか」居合わせたアシュレイがつぶやく。ティアははため息をついた。これは先日の紅芋のケーキのリベンジだ。一緒に来た桂花は蔵書室に行った。「逃げたな桂花」
クスクス笑いながら、お茶を出したくれた使い女の手首にミサンガを見つけた。
「なんだ またミサンガが流行っているのか、文殊塾でも女の子が作ってたなあ。」
「ここで流行っているミサンガには意味があるんだ。」アシュレイは人の悪い笑みを浮かべた。「黄色はティア、紫が桂花をさしているんだ。好みの人だと。」
「赤はアシュレイだよ。」ティアが付け加える。「赤と黄色は私達二人が好きという意味になる」
「紫と金もある。執務室のコンビが好きという意味らしい」
俺の桂花は美人で頭もいいからティアと並べても見劣りにないよな と柢王はニコニコした。
「でも紫と黒はない。」柢王の笑顔が固まった。
「使い女の制服は白だ。黒と紫じゃあ 喪服になるだろ。」
無情なアシュレイの言葉に柢王撃沈。
きれいなミサンガはたくさんあるけれど 最高のは俺が持っているさ。とアシュレイは会心の笑みを浮かべたとか。


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