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投稿(妄想)小説の部屋 Vol.3

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No.308 (2011/12/02 16:26) title:欲しい物 前編
Name:真子 (p2247-ipbf2901marunouchi.tokyo.ocn.ne.jp)

文殊塾の門の内側 数歩離れた所でアシュレイは手中の玉を投げた。玉は空高く上がっていく。
アシュレイが指をならすと パーンと大きな音をたてて割れ白い煙が噴き出した。
つづけてもう一つ玉を投げ破裂させると今度は赤い煙が吹き出した。
「よっしゃ いいぞ」アシュレイのうしろで黒髪の先輩が声をあげ 空に向けて手を振る。
風をあやつる その手に従って白い煙は[バザー] 赤い煙は[開催]の文字を形作る。
そう今日は文殊塾のバザーの日だった。

事の始まりは、文殊先生が巡回の途中 飼育小屋で足が止まったことだった。
動物がヤケに多い。それに見慣れない動物もいる。なんとなく元気のない動物もいるような・・・はてなと首をかしげる。
見ると赤毛の飼育員が一生懸命に抱えた鳥をなでている。鳥はぐったりと丸まっているようだ。
その傍には金髪の少年が草の上にちんまりと座ってニコニコしている。
キレギレに「羽は治ったろ」「ここで少し休んでおいで」の声が聞こえる。
どうやら羽を痛めた鳥をティアが治療したようだ。増えた動物もなんらかの理由でアシュレイが保護したのだろう。
「やさしいというのは美点ですな。」しかしなぜその優しさが同族の天界人に向けられないのかと 首をかしげて文殊先生はその場を離れた。
そして翌日 文殊先生は飼育小屋増設とその資金集めのバザーの計画を発表した。
生徒はもろ手を挙げて賛成した。なんせ遊び好きの年頃 授業がつぶれてお祭り騒ぎができるのだ 賛成しない訳がない。
その場で受け持ちが決められた。
計算の得意な商人の子供がチケット制にしようといい、売り子に立候補した。
手芸の得意な生徒が手作り品のフリマをしょうと提案し 容姿に自信のある生徒が接客するといった。
年長組の男子生徒は食べ物やゲームの屋台を出し、年少組は余興の演奏会をする事になった。
みんなが盛り上がっているなかで、戸惑っている生徒がいる。この騒ぎの震源地 アシュレイだ。
文殊先生は考えた。
売り子→計算不得意
接客→愛想なし
ウェイター→所作乱暴
音楽→論外
文殊先生はため息まじりにアシュレイに開門の係を命じた。

という訳で今日 バザーが開かれる運びとなったのだ。
アシュレイは空に書かれた文字を確認すると、ポケットから原稿用紙を取り出した 文殊先生から渡された開会の挨拶だ。
これを門の外で待っているお客に向かって読み上げ 門を開けばアシュレイの仕事は終わる。
柢王がポンと肩をたたく。「さっさと開門しちゃえ 挨拶なんて誰も聞かないって。」言い残して柢王は去った。
見ると予想以上の人がおしよせ 開門を待っている。確かにこの人出では声は届かないだろう。まだ開けないのかという無言の圧力も感じる。
いいやとアシュレイは原稿をポケットに戻して門扉に手を掛けた。
「おはようございます。ただいま開門します。」思いっきり声を張り上げ 門を開けた。
文殊塾ののバザーの始まりだ。


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