[戻る]

投稿(妄想)小説の部屋 Vol.3

ここは、みなさんからの投稿小説を紹介するページです。
以前の投稿(妄想)小説のログはこちらから。
感想は、投稿小説ページ専用の掲示板へお願いします。

名前:

小説タイトル:

小説:

  名前をブラウザに記憶させる
※ 名前と小説は必須です。文章は全角5000文字まで。適度に改行をいれながら投稿してください。HTMLタグは使えません。


総小説数:1010件  [新規書込]
[全小説] [最新5小説] No.〜No.

[←No.298〜302] [No.303〜303] [No.304〜308→]

No.303 (2011/10/12 15:49) title:柢王元帥の査察 番外編U
Name:真子 (p2247-ipbf2901marunouchi.tokyo.ocn.ne.jp)

Name:真子 (kd113151204178.ppp-bb.dion.ne.jp)

ティアが執務室の椅子に座れば書類が追いかけてくるのは 昨日と同じ。
お茶は使い女に淹れてもらった。吾の淹れたお茶は厭だろうと思ったからだ。
万事気配りのできる天守塔の使い女は お茶受けまで用意してくれた。
アシュレイはおとなしく 窓際の長椅子で一服している。不気味だ。サルがケンカを仕掛けない 珍事だ。
ティアはかまいたい かまって欲しいと 目で訴えるが
「仕事しろ 終わったら用件をいう。」
との一言に 仕事を早く終わらせようと必死だ。吾も早々に退出したい。何か口実を作って 蔵書室に逃げようと桂花は決心した。
そんな時に限って 仕事が多いもの。桂花は文官達のためにドアを開け 書類を受け取り アドバイスをする。座る暇もない。
ティアの机の上に書類が溜まってきた。宛先別にして 届けなければならない。
とりあえず ティアの決済がすんだ書類を 文官室に運ぼうと取り上げた。その横には訂正が必要な書類がある。その多さにイライラする。
と同時に逃げ出す口実を見つけた。
「守天殿 吾はこれを文官室に運んでまいります。その後 蔵書室でそちらの書類を書き直してまいります。」
「蔵書室には行かないで 戻ってきて。そっちは特に急がないし、明日以降で構わないから。なんだったら差し戻しして。」
桂花が逃げ出したいのは 百も承知 でも逃がさない 桂花がいなければ仕事が溜まる。ひいてはアシュレイとの時間が短くなる。
「はい わかりました。」ダメか 桂花は肩をおとした。でも守天殿 差し戻してもまたこの位置に同じ書類が来ます。二度手間です。
心の中でつぶやきながら 完成した書類を取り上げ退出しようとしたその時 ドアにノックがあった。
桂花は抱えていた書類を持ち直し ドアを開け 深く礼をする。
「急ぎの書簡です。」桂花には目もくれず、ズカズカと入ってきた文官は手にした紙を差し出した。
「昨日 私がお持ちした書類は決済して頂けたでしょうか。急ぎだと申し上げた筈ですが。」
頭を下げたまま桂花が答えた。
「本日 朝のうちに担当に回しました。」
「私の書いた物は来ていないと申しておりましたが。」文官はティアの方を向いたまま尋ねた。
「訂正箇所があまりにも多かったので こちらで清書しました。」
「なんと」文官の顔が朱に染まる。魔族ごときが差し出た口をきいて 高等な知識をようする文官をバカにするか。
マズイ 口が滑った いつもならサラリとかわすのに今日にかぎってこうゆう事になるのか。
「そう私が指示したんだ。」ティアは冷静だった。「珍しく 間違いがおおかったんだ。疲れているようなら、配属を変えようか。」
「いえ 今のままで結構です。守天様の御指示なら問題ありません。」
降格でもされたら大変だと 引き下がるが桂花に恨みを込めた視線を浴びせる。
「チョット待て」窓際から声がかかる。アシュレイだ。
今度はなんだ。桂花はいつでも逃げ出せるように ドア近くに移動する。
「文官全員に言っとけ ドアは自分で開けろ 手がふさがっていたら外に立っている兵士に開けてもらえってな。
それから 荷物もっている奴には道を譲れ そうゆうもんだろ普通はよ。」
「は はい 伝えます」南の元帥に言われる筋ではないが、相手は その名を轟かせる乱暴者 言う通りにした方がいい と文官はそそくさ退出した。
(正論だ 本当にサルなのか、吾をかばうなんてサルらしくない)
あまりの衝撃にフリーズしている桂花にティアが声をかけた。
「その書類届けてきたら 夕食にしようか。少し早いけど 夜の方が仕事はかどりそうだしね」
(言外の意味は早く二人になりたいでしょうか。それとも今の吾は使えないでしょうか。)
「あの 吾はやはり蔵書室で調べものをしたいと思います、お食事はお二人でどうぞ。」
「いつも ティアと食っているんだろ。今日もそれでいい、食堂に先に行くぞ」
いつまで続く針のムシロ と思う桂花だった。

桂花が食堂に入ると二人はすでに席についていた。
「遅くなりまして」と一言 声をかけて席に着く。
使い女がすぐに膳を運ぶ。
「今日は東の料理なんだ。箱に入っているなんておもしろいな。」使い女が蓋を取ってさらにティアが言葉を続ける。
「かわいいし きれいだね でもどうやって食べるの。」
桂花も目を見張っている。これは人間界の東の島 吾のいた所の‥。
「これは手まり寿司といいます、守天殿。味をつけたごはんを丸くして 具材を載せていきます。
箸だと食べにくいので 指でつまんだ方がよろしいかと思います。」
「そうなの」ティアはヒョイとつまんで口に入れる。「美味しい、アシュレイも食べて、肉や魚のもあるよ。」
「こちらをお使いください。」使い女がおしぼりを置いた。
「こちら揚げ物になります。」「こちら香の物です。」使い女は会話しようとせずに給仕していく。
ティアは一人嬉しそうに「これは何 これは何かつけるの」と聞いてくる。
「これは 醤油を付けてください。こちらはワサビがきいています」とか答えながら 箸が進んでいく。
「甘い」アシュレイが嫌そうに声を上げた。
「栗の甘露煮です。」
「栗は焼くもんだろ、わざわざ砂糖で煮なくっても充分甘い。」
「確かに焼き栗は美味しいけど、甘露煮も好きだな」ティアが素早く中に入る。
別に甘露煮の肩を持つ気もないが、アシュレイの言い分を認めるのも厭だ、桂花は甘露煮に箸をつけた。しっとりとして美味しい。
そんなこんなで食事が終わるころには 満腹で水菓子も断った。
「食後のお茶はお二人でお楽しみください。吾は下がらせてもらいます。」
「自室に下がって構わない、用があれば呼ぶから。」
出ていく桂花をアシュレイが目で追う。ティアは手で合図して使い女を下がらせた。
「君の用件は桂花のこと? 何かあったの」さりげなくアシュレイの椅子に割り込む。
「朝 東領から使者が来たんだ。表向きは柢王の人間界の報告書を届けにきたと言ったんだけど。」
「うんそれで」(人間界の報告書は昨日 桂花が清書した、まだ南に届くはずない)
「気になること言ってたから」
「桂花の事で」ティアは考えながら手も動かした。アシュレイを膝に乗せるの成功。
「おまえがあいつと遊んでばかりいるとか」
「仕事はしている。桂花が来てくれて短時間ですむから遊んでいるようにみえるんだ。」冠帽外せた。
アシュレイは話に夢中で気が付かない。
「知っている、おまえの机の上が片付いているの初めてみた。魔族の身で天守塔での生活はつらいだろうとも言った。
東領で引き取ろうかとも言った。」
「そうなんだ それで心配してきてくれたの」ティアはストロべりーブロンドを顎の下に固定した。
(使者は柢王だろう だから南に向かったのだ。しかし柢王の考えが今一つわからない)
「柢王があいつをおまえに預けたんだろ。東領においとけないから」
「そうだけど」
「ならおまえの責任だろ あいつの事は。変態ドレス着せてあそんでんな。仕事でこき使うな、おまえの評判が悪くなる。」
(そうか柢王なら言いたいことはいう男だけど、桂花に関しては私以外に言えないからアシュレイを使ったんだ。
この真っ直ぐな子はストレートに仕立て屋にも文官にも意見するから。柢王の思惑通りか)
まあいいか アシュレイが来てくれたんだから とティアはいたずらな手を動かす。
「お おまえ何するんだ」我に返ったアシュレイの前身から火が噴きだしたとか。


[←No.298〜302] [No.303〜303] [No.304〜308→]

小説削除:No.  管理パスワード:

Powered by T-Note Ver.3.21