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投稿(妄想)小説の部屋 Vol.3

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No.296 (2011/09/21 18:13) title:柢王元帥の査察 U
Name:真子 (kd113151204178.ppp-bb.dion.ne.jp)

執務室で桂花はティアに言われてお茶を淹れた。
お茶と言われたらお茶のみだ。人間界からとんできた柢王の腹など知らない。
昼食は済ませたのかとか、夕食まで間があるとか綺麗にスルーした。
帰ると知らせない方が悪い。ほんの少し外出しただけのように落着き払ってお茶など飲んで。何を考えている。この男は。
ティアが執務室に戻れば書類が追いかけてくる、イライラを隠して仕事に戻る。
ドアのノックを受けてあける。そこで書類を受け取ることもあるが、おじぎをして文官を通すこともある。
受け取った書類は机の上に置くまでに読んでしまう。机に置かれた書類も目を通し違う場所に置く。
ティアとの間で書類の置く位置に決まり事があるらしい。僅かな言葉を交わしながら仕事が進む。
ティアの署名された書類は宛先別にして別室に運ばれる。流れるような一連の作業。滞りも停滞もない
見事な連携だ。
引きも切らず訪れる文官の中で、ひときわ尊大に入ってきた者がいた。桂花に目もくれない。つかつかとティアの前に進む。
「急ぎ ご署名を。」と書類の束を置く。
桂花は恭しく礼をして送り出すと、書類を取り上げる。
「使えません。特に急ぎませんから 後程吾が調べます。」
「悪いね。」
「いつものことですから」書類は要塞調査となり桂花の手元に残った。
次の文官は桂花に書類を見せた。書式はこれで、添付資料がなんでと話込み始めた。
「いつもこんな感じか?」柢王がティアに聞いた。
「そうだ。桂花は使える。ここに来た次の日には文官2百人の名前を覚えた。七つの書類の山も一週間でかたずけられた。
いまでは自由になる時間もできてうれしいよ。」
「だからといってな〜。桂花は俺のだ。勝手にいろんな事刷り込むな。」
「洋箏の事?遊びだよ、アシュレイもお前も付き合ってくれないし。桂花の知識欲満たしてあげようかなと。」
「問題はそこじゃあない。あいつが新しいもん好きなのも器用なのも知ってる。
俺の知らない所で着飾って使い女やら文官の前で演奏していたことだ。」
桂花は見せもんじゃあない。心のなかで付け加えた。
「なんだ 妬いている?いいじゃない サービスだ。使い女は桂花に好意的だから」
彼女たちが日に何度も桂花様と呼んで指示をあおぐので、文官もあの魔族と言わなくなった。
名前を呼んでもらう これが最初の一歩
「桂花は俺の 俺んだ」
わめきだした男の頭に書類が打ち下ろされた。
「邪魔です。」桂花の瞳が氷の様だ。
「ごめん」謝る柢王にさっと書類が渡される。
「これに見覚えがありますね。」
「俺の書いた人間界の報告書だろ。」
「これは何かの暗号ですか。字というのは読めるように書くもんです。
読めない物書いてどうするのですか。清書してください。邪魔するぐらいなら仕事してください。」
「お前よめるだろ、書いてくれ〜」
何甘ったれてるのだと睨みつけ 沈黙を返した。
柢王はフンと書類を投げ出した。桂花がやってくれる、やってくれるはず。
子供みたいなまねしてと桂花の怒りが燃え上がる。
「吾は傍にいないのですよ。わかっていますか」
「桂花 手伝ってやれば、君の方が内容もまとまるし、字もきれいだ。私の名前で各国に送る。君の仕事だ。」
ティアがそういえばやるしかなく、書類を風で取り寄せる。
吾はあなたの何?基本的な疑問を抱いて柢王の筆跡をまねて報告書を作成していく桂花だった。


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