[戻る]

投稿(妄想)小説の部屋 Vol.3

ここは、みなさんからの投稿小説を紹介するページです。
以前の投稿(妄想)小説のログはこちらから。
感想は、投稿小説ページ専用の掲示板へお願いします。

名前:

小説タイトル:

小説:

  名前をブラウザに記憶させる
※ 名前と小説は必須です。文章は全角5000文字まで。適度に改行をいれながら投稿してください。HTMLタグは使えません。


総小説数:1010件  [新規書込]
[全小説] [最新5小説] No.〜No.

[←No.290〜294] [No.295〜295] [No.296〜300→]

No.295 (2011/09/20 20:34) title:柢王元帥の査察
Name:真子 (p2247-ipbf2901marunouchi.tokyo.ocn.ne.jp)

(2011/09/20 15:55) (kd113151204178.ppp-bb.dion.ne.jp)

柢王は蒼穹の門で部下と別れると全速で走りだした。
目指すは天主塔 桂花
無事なのは判っている 手紙も貰った。ティアを信頼してもいる。
それでも心配なのだ。普段の生活を見てみたい。
そう 今日は柢王元帥の査察なのだ。

気合入れて飛んだおかげで、ほどなく天主塔についた。
正面から入るのは面倒だと判断して、バルコニーに降りた。
「あれ ティア 桂花?」
いつも書類で埋もれている机はきれいに片ずき 主の姿は見えない。
「仕事終わったんか珍しい」
柢王は廊下にでてみた。兵士も使い女もいない。
なんとなくざわついている方に進んでみる。音楽室だ。
部屋の前に人だかりができている。
「ティアが演奏しているのか」
使い女に混じって文官や兵士も部屋の中を覗きこんでいる。
体を割り込ませて 驚いた。
桂花が洋箏の前に座っている。
ティアが傍らで弦器をかまえていた。
「桂花 もう一度最初から」
「はい」
ティアのだした出の合図に桂花が応じる。
紫微色の長く優美な指が鍵盤の上をすべる。
うつむいている桂花は柢王に気づかない。
「け い か」つぶやきが漏れる。
桂花の前髪は後ろで束ねられているので顔がよくみえる。
真剣だけれど 穏やかだ。
窓からの微風にさらさらと髪がゆれる。
着ている服も柢王の見覚えのない物。
身頃も袖もたっぷりとドレープのある白の生絹 下には紫を使っている。
二枚の絹が陰影をつけて 最奥の刺青はいかにと想像させる。
得に凝ったつくりではない 飾り物もない。
だからこそ 色香がおさえられ 一幅の綺麗な絵画のように見せている。
(ティアのやつ)
柢王はティアに目をやる
ティアは柢王に気が付いていた。
(どう?)というように口元がほころんでいる。
柢王はガシガシと頭を掻いた。
俺は知らない洋箏を弾く桂花など こんな風に飾りたてられているのも知らない。
短い練習曲はすぐに終わった。
感嘆の溜息がもれる。
「桂花 完璧だ 今日は終わりにしよう。柢王おかえり。」
「えっ 柢王」
桂花が振り返り 出された足が止まる。
回りには使い女や文官がいる。「お帰りなさい」と礼をするのにとどめた。
本当は放置された文句の一つも言いたい。
それより抱きしめて会いたかったといいたい。
吾に一番に元気な顔を見せてほしかった。最初にお帰りと言いたかった。
それなのにこんな所に姿を出して。俯いてしまった桂花の背をティアが押す。
「執務室に行こう。柢王も」


[←No.290〜294] [No.295〜295] [No.296〜300→]

小説削除:No.  管理パスワード:

Powered by T-Note Ver.3.21