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投稿(妄想)小説の部屋 Vol.3

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No.215 (2008/06/01 15:10) title:お月さまも笑ってる1
Name:薫夜 (160.155.12.61.ap.gmo-access.jp)

ガラガラガラ…
「ただい…ま?」
ティアが玄関を開けると、アシュレイが怖い顔で待っていた。あきらかに怒っている。今日は会社帰りに飲んでないし、思い当たる事はないけれど、おそるおそる尋ねた。
「…ど、どうしたの?」
「どうしてこれがあるんだ?!」
仁王立ちのアシュレイの手に握られているのは、フリルの愛らしいエプロンだ。あれは、ティアが絶対に見つからない場所に隠したはずなのに。
「な、なんでっ!?」
ティアの動揺に義弟の氷暉が自慢そうに笑う。
「ティア兄さんの隠し事見つけてやったぜ。感謝の気持ちは形でな」
「なんだ、小遣い目当てなのか、ちゃっかりしてるな」
ティアはアシュレイが小遣いを渡すのを神妙な顔で見ながら、僕だったら口止め料に倍出すのにと悔し涙を流していた。
「兄さん、いいな!」
羨ましそうな水城に優しい目をした氷暉が言う。
「明日のおやつはアイスだ」
やった!と水城が歓声をあげて駆けていく兄妹を尻目に、アシュレイの尋問が始まる。
「あの時、捨てろと言ったエプロンがここにあるのはなぜか説明しろっ!!」
…あれは確か、まだ寒い季節だった…

 
「ティア!どこ行くんだ?」
茶色の紙袋を抱えて上機嫌なアシュレイが走ってくる。
「それは、こっちのセリフだよ。行ってきますの挨拶もしないで」
日曜日の午後をのんびり過ごしていたら、突然アシュレイが家から飛び出して行ったのだ。
「あっ、あんな恥ずかしい事いちいちしてられるかっ!」
「新婚さんは、みんな必ずするものなんだよ?どうして、恥ずかしいの?」
嘘だけれど…外国式挨拶を習慣にしたいティアはアシュレイの弱みである哀しげな顔で訴える。
「ぐっ…た、ただいまはするから!」
「本当に!!」
「あ、あぁ…」
覚えてたらと、呟くアシュレイだ。
「じゃあ、行ってきますは、今してもらおうかな?」
「なっ!…こ、こんな公園で、何考えてるんだっ!」
逃げようとするアシュレイに、誰も見てないからとティアは囁いて。
「んーんん??」
甘い匂いにティアが目を開けると、ホクホクとした焼き芋が目の前に。
「ほ、ほら、あーん…」
アシュレイのごまかしにティアはうらみがましく口を開ける。
その顔を可愛いとアシュレイが思ったのはティアには絶対内緒だ。
「う、美味いだろっ!」
とりあえず、耳まで赤い恥ずかしがりやのアシュレイの手から食べさせてもらえた事でティアは満足して。
「うん、美味しいよ。これを買いに行ってたの?」
「そう!音が聞こえたから、急いで買いに…ああっ!!」
「ど、どうしたの?」
「…お金払ってない…かも…」
「ええっ!?食べちゃったよ」
アシュレイは焼き芋を買った時の事を思い出しながら、ふと大事な事に気が付いてポケットを探る。
「ない…!!急いで出てきたから、財布を持って来るの忘れた…ティアは?」
アシュレイの期待するような上目遣いは可愛いけれど。
「僕も持ってないよ…」
ティアの困ったような視線に、新婚をからかわれたから恥ずかしくて逃げてしまったのだとは言えないアシュレイだった。


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