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投稿(妄想)小説の部屋 Vol.3

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No.182 (2008/03/07 14:29) title:際やかに告げられる愛
Name: (p128123.ppp.dion.ne.jp)

「桂花先輩、こっち向いて」
「空也・・・何度も同じことを言わせるな。吾は写真を撮られるのは好きじゃない」
「え〜っ?だって桂花先輩特集なんですよ?写真が一枚もないんじゃブーイングの嵐ですって。俺がみんなに殺されちゃいます」
「成仏してくれ」
 ヒ〜ッ冷てぇ〜っと叫ぶ空也を後に桂花は校門を出た。
「桂花、なにしてンだ?撮影終わったのか?」
 顔をあげると広報部の部長であり、自分の恋人でもある柢王が立っていた。
「何が撮影ですか。あなた、吾をパンダ扱いして楽しいんですか?」
「なんだよ、客寄せだなんて思ってないぜ?キレイなお前を一枚でも多く記録しておきたいだけだって」
「バカバカしい」
「そんなに嫌いか?写真撮られんの」
「嫌いですね」
「理由は?」
「レンズを向けられてもどんな顔をしたらいいのか分からない」
「それだけか?」
「ええ」
「なんだよ〜別にどんな顔でもいーんだって、お前は。なんなら睨みつけてるだけでもオッケーオッケー」
 桂花は肩にまわった腕をつねりあげ、柢王を流し見た。
「おぉ〜・・ゾクッとくんな、その目」
「空也を張らせるの、やめてくれません?彼の古典的な彼女が、吾の靴の中へ大量の画びょうを仕込んでくるんですよ」
「ハハッまじで?大量じゃ足入れるまでもね―な」
「まぁ・・・かわいい妬きもちですけどね・・・あれが普通の恋人の反応というものなんでしょう」
 かるく目を伏せて桂花は歩きだしたが、柢王がそれ以上追ってくる気配はなかった。
 無意識にため息がもれてしまう。
 そうだ。
 普通なら自分の恋人がチヤホヤされたり言い寄られたりすることは面白くないはずだ。なのに柢王は・・・・。
 強引に落とされた感が、拭えなかったはずなのに・・・・いつの間にかこんなにも自分の調子を狂わせる恋になってしまった。
 ふいに視界がゆるみ、すばやく目元を拭うと、その手をグイと引かれた。
「なんで泣く?」
「・・・・・」
 下唇をかんで桂花は視線を落とす。
「泣かせるつもりじゃなかったんだけどサ・・・・たまんねぇな」
「え?」
 柢王は自分の方を見た恋人を抱きよせると、彼の長い髪を払って小さな顎を上向かせた。
「!」
 触れた瞬間、こんなところで!と驚いた桂花は、両手で思いきり突きはなす。
 柢王は唇をかるくなめてニヤリと笑った。
「撮れたな?空也」
 そのセリフに驚いて、柢王の視線を追うと電柱の陰からおそるおそる空也が現れた。
「・・・まさかでしょうっ、正気ですか!?」
「いたって正気。号外だ、いま撮ったのを一面にだす」
「そ、そんなことさせませんよ!」
「するよ。お前、俺が妬かないとでも思ってたのか?どうせ次号でお前との仲をバラすつもりだったんだ。もー誰も近よらせねーからな」
「・・・・・・空也、カメラを」
 話しても無駄そうな柢王をさっさと見限って、小さくなっている空也を針のような眼差しで射抜き、桂花がせまる。
「柢王先輩〜」
「渡すなよ、空也」
「こんな事して何になるっていうんですか。面白おかしく騒がれるだけでしょう?!」
「だけどティアが・・・」
―――――――何故ここで柢王の幼なじみの名が出るのだろう? 桂花は気になって言葉の続きを待つ。
「ティアがよぉ〜、教室でアシュレイとの恋人宣言したって言うじゃん。先越されたままじゃ気がすまねぇもん。俺もお前が俺のモンだって全校生徒に宣言するっ!!」

 ドカッ!!

「・・・て、柢王先輩、大丈夫ですか・・・?」
 足の間を押さえたまま痙攣する柢王を心配そうにのぞきこむ空也。
「俺の・・ことは良いから・・・眼レフ・・取り返せ・・・」
 切れ切れに訴える柢王に空也は不敵な笑みを浮かべた。
「フッフッフ、だてに柢王先輩の相棒として働いてるわけじゃありませんよ。さっき渡した眼レフはダミーです」
「・・・グッジョブ・・・最高だぜ・・空也」

 バタリ。

 かくして号外は無事発行され、多くの生徒や( 男女問わず )一部の教師までもを奈落の底へと突き落としたのであった。
 それからのち、いくら恋人に虐げられても柢王は上機嫌で、その反省のない態度に桂花は怒りを募らせている。
 空也はというと・・・桂花の報復を恐れ、古典的な恋人の後を金魚のフンの如くついてまわっているらしい。



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