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投稿(妄想)小説の部屋 Vol.3

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No.113 (2007/05/09 22:44) title:統一地方選挙(9)-後
Name:モリヤマ (i220-221-231-207.s02.a018.ap.plala.or.jp)

 

 そうして江青がアウスレーゼにお持ち帰りされてすぐ、寝室で休憩を取っていたティアが現れた。
 
ティア 「遅れて悪かったね。…あれ、デンゴン君。アウスレーゼ様は?
     一緒じゃないの? 江青も…いないけど……」
 
 恒例の反省会と対策会議のはずなのに、なぜか選管委員長がいて、会議のメンバーのひとりがいない。しかも、アウスレーゼもだ。
 
アー 「ああ、いまアウスレーゼが具合悪いってんで江青が部屋まで
    送って行ったんだ。…それよりティア! こいつ、すげぇんだぜっ!」
 
(アウスレーゼ様を部屋へ…?)
 
 喜々としてデンゴン君の特技について語ろうとするアシュレイに隠れて、ティアはそっとため息をもらした。
 
珀黄 「守天様…、江青になにか…?」
ティア「え…ああ、なんでもないよ」
珀黄 「ですが…」
ティア「本当になんでもないから。
    …………アウスレーゼ様だってプラトニックって言ってたし」
 
 小さくもらした言葉を近頃不安倍増中の珀黄は、聞き逃さなかった。
 
珀黄 「プラ と ニック…!? アウスレーゼ様のお部屋には、他にも
    どなたかいらっしゃるのですか?」
ティア「え!? あ、いや…そういう意味じゃなくて」
 
 武闘派の思考回路は似ているらしい。
 従兄弟を心配するあまり、アシュレイと同じ発想で、なんだか変な勘違いをしている(ある意味その不安は自体は正しいのだが)珀黄に、どう説明すればいいものか…とティアが躊躇していると…
 
アー 「ほらな! やっぱり、プラ と ニック って奴がいるんだ!」
『あしゅれい、スゴーイ!』
 
 結局あのあと遊びに興じてしまい、桂花に「プラトニック」の意味を尋ねそこねたふたり(一人と一体?)が、珀黄発言に勝手に確信しているのが目に入る。
 
ティア 「え? なに? アシュレイのなにがスゴイって!?」
 
 そんなアシュレイとデンゴン君に気をとられかけたティアに、なおも珀黄がすがりつく。
 
珀黄 「守天様…。こ、江青には、妻も子もいるのです…っ」
ティア「し、知ってるから…。
    えーと…ほら、アウスレーゼ様はデンゴン君と同じお部屋だから、
    たぶん珀黄が心配するようなことはなにも…、ね?」
珀黄 「わ、私がなにを心配していると…っ!」
『我、寝チャウト ナニ ガ アッテモ、ワカラナイケドー』
珀黄 「ナニ!? ナニ がって…なにかあるんですかっっ!?」
 
 デンゴン君の一言で、珀黄の不安はさらに倍。
 
桂花 「助けてあげないんですか」
柢王 「うーん…なにをどう助けりゃいいのか。…なぁ?」
 
 他人事のように笑って、いちゃつく二人。
 そして、いつもなら↑そんなふたりにすかさず突っ込むアシュレイも、白熱する珀黄の突っ込みの完全なる傍観者となっていた。
 
アー 「…やっぱ、3人でって意味だったんだな」
『あしゅれい。我ニモ 詳シク教エテッテバ』
アー 「…いや、おまえにはまだ早い。大人になったら自然と分かることだ
    から、な?」
『エエー! ソンナノ ヤダ。我モ、あしゅれいト 同ジコト 知リタイノニィィ…』
 
アー 「……ああもう、おまえってば可愛すぎ!!」
 
 駄々をこねて拗ねるデンゴン君が、今日もアシュレイのツボにハマったらしい。拗ねてじたばたするデンゴン君を、無理やりギューギュー抱きしめる。
 
『ウワッ、ク、苦シイヨーあしゅれい』
アー 「あははははっ」
 
ティア「………珀黄。」
珀黄 「は、はい…?」
 
 それまで珀黄をなだめる一方だったティアの、突然の地を這うような低い声に、珀黄、三度(みたび)びびる。
 
ティア「珀黄。私はさっきから『大丈夫だ』と『心配ない』と、何度も
    言ったね。なのに君は私の言葉を信じない。…私の言葉が
    信じられないほど、いったいなにを心配しているのか、
    私に理解できるように、4000字以内にまとめて明日一番で
    提出してくれ。では解散」
 
珀黄 「守天様……?」
 
 温厚(?)な守天の打って変わった冷え冷えとした口調に、珀黄はやっとのことで我に返り青くなる。
 
柢王 「おまえのせいじゃないって。…さ、部屋に戻って休め。俺達も
    退散すっから」
 
 そうして、柢王、桂花、珀黄と、事務所部屋を後にする。
 
アー 「んじゃ、俺達も行くかっ」
 
 デンゴン君とともにアシュレイも部屋を出ようとすると。
 
ティア「アシュレイは残って。話があるから」
『ソシタラ 我モー』
ティア「デンゴン君はいいから。部屋に戻って」
『デモ…今 戻ルト、我、昆虫 ニ ナッチャウカモ…』
アー 「え!? おまえ、虫に変化できるのかっ!?」
『分カンナイケドー。あうすれーぜ ト 江青 ノ トコニ行クト、おじゃまむし ニ ナッチャウンダッテ…。虫 ニナッテモ、マタチャント 我ニ戻レルカナァ…』
アー 「おじゃまむし…」
ティア「デンゴン君。絶対、虫にはならないから、部屋に戻って、江青に、
    珀黄が呼んでるよ、って伝えてくれないか」
『オ願イー?』
ティア「お願いだ」
『分カッター。ソシタラ、あしゅれい、マタ明日ー!』
 
ティア「…………」
アー 「お邪魔虫なんてっ…。子供に変なこと教えたのは、柢王だなっ。
    …明日、きっちりシめてやんねーとっ」
ティア「アシュレイ」
アー 「なんだ」
ティア「君は、私とデンゴン君と、どっちが大事?」
アー 「・・・・・・・」
ティア「…呆れてる? 私だってバカみたいだと思うよ。けど、君、
    選挙が始まってから絶対私といるよりデンゴン君と遊んでる
    ほうが多いし…。私の前で見せつけるし…」
アー 「はーっ!? なんだ、その見せつけるって!!」
ティア「お風呂だって結局一緒に入ってくれなかったし」
アー 「…風呂って。おまえは馬鹿かっ…!!」
ティア「どうせ馬鹿だよ。………私も人形だったらよかった」
アー 「…………」
ティア「そしたら、一日中君と一緒にいられるのに………」
アー 「……でも、俺は人形とエッチはしねーぞっ」
 
 全身真っ赤に染め上げて、最大譲歩でアシュレイが言う。
 
ティア「…私とは、する? してくれる?」
アー 「ぎゃーーーーーー!! んなこと、マジに訊くなっっ!!」
 
 自分で振ったくせに、相手から言われるとどうにもサブイボが出てしまう、アシュレイだった。
 
 
 
 翌朝。
 昨夜、江青が無事部屋に戻り胸をなでおろしたのも束の間、守天の静かなる怒りが気になり、徹夜で仕上げたレポートを持って、珀黄は充血した目で臨時執務室の扉の前に立っていた。
 そして、いざノックをしようとしたとき、中から扉が開き、当の守天が現れた。
「…お、おはようございます、守天様!」
 
 緊張の面持ちでそういえば、
 
「おはよう、珀黄。いい朝だね」
 
 いつにも増して肌つやのいい、ご機嫌な様子。
 これならいけるかも!(?)と、レポートを差し出そうとすると…
 
「こんなに素敵な朝は久しぶりだよ。……珀黄、君にも祝福を」
「・・・・・・・・・・・・・・・」
 
 光の化身が向けたまばゆい微笑と、突然の抱擁が珀黄を襲った。
 最近貧血気味だった珀黄は、そのまま一瞬で凍り付いていた……。
 
 
 


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